AI時代の発信幻想 第4章 AIと働き方
#39 「効率化」の先に、本当に欲しかったもの
AIを使い始めてから、私は「効率化」という言葉をよく使うようになった。
文章を作る時間が短くなった。
調べものも早くなった。
画像も作れるようになった。
ブログの記事構成を考える時間も、以前とは比べものにならないほど短くなった。
仕事でも同じだ。
考えを整理したい時。
文章をまとめたい時。
何か新しいアイデアが欲しい時。
AIに相談すると、一人で考えていた頃よりずっと早く次へ進める。
確かに便利になった。
でも、ある時ふと思った。
私は、いったい何のために効率化したかったのだろう。
仕事を早く終わらせるためだろうか。
もっとたくさん仕事をするためだろうか。
もっと売上を増やすためだろうか。
もちろん、それも間違いではない。
経営者なのだから、効率は大切だ。
無駄な時間を減らし、利益を残すことも必要だ。
でも、それだけではなかった。
私が本当に欲しかったものは、もっと違うところにあった気がする。
それは、
「自分で使い方を決められる時間」
だった。
若い頃は、時間があればもっと仕事をした
若い頃の私は、とにかく働いた。
建築の仕事を覚えたかった。
お客様を増やしたかった。
会社を続けたかった。
独立してからは、さらに必死だった。
一人社長だから、誰かが代わりにやってくれるわけではない。
営業もする。
見積もりもする。
現場も見る。
職人さんと打ち合わせをする。
請求もする。
お客様から電話があれば自分で対応する。
時間が空けば、
「もう一件できる。」
そう考えていた時期もあった。
効率化とは、さらに仕事を詰め込むためのものだったのかもしれない。
でも今は少し違う。
60歳目前になって、時間の価値が変わった
年齢を重ねると、不思議なものである。
お金の価値が下がったわけではない。
仕事への情熱がなくなったわけでもない。
むしろ私は、まだまだ仕事をしたい。
新しいことにも挑戦したい。
ただ、一日の時間に対する感覚が変わってきた。
若い頃は、
「明日やればいい。」
と思えた。
今は、
「今日できるなら、今日やってみよう。」
と思うことが増えた。
人生には限りがある。
そんな当たり前のことを、若い頃より少しだけ現実として感じるようになったからかもしれない。
だから私は、時間を無駄にしたくなくなった。
ただし、ここで言う「無駄にしない」は、予定をぎっしり詰め込むという意味ではない。
むしろ逆だ。
自分が本当にやりたいことに時間を使いたいのである。
AIが作ってくれた時間で、私はまた仕事を始めた
少しおかしな話だ。
AIで仕事を効率化した。
時間ができた。
普通なら、その時間で休めばいい。
ところが私は、ブログを書き始めた。
しかも一つではない。
気がつけば、いくつものブログを運営するようになった。
noteも始めた。
画像生成も覚えた。
SEOも勉強した。
Search Consoleを開いて数字を見るようになった。
今度は動画にも興味が出てきた。
結局、私は空いた時間にまた何かを始めている。
「全然休んでないじゃないか。」
自分でもそう思う。
でも、昔とは少し違う。
やらなければならない仕事ではない。
自分がやりたいからやっている。
この違いは、とても大きい。
本当に欲しかったのは「暇」ではなかった
私は、暇になりたかったわけではないのだと思う。
何もしない時間が欲しかったわけでもない。
欲しかったのは、
「今日は何をするかを、自分で決められる余白」
だった。
今日は建築の仕事をする。
少し早く終わったらブログを書く。
思いついたことがあればAIに相談する。
面白いアイデアが出れば画像を作ってみる。
疲れたら今日はやめる。
そんな選択ができること。
それが、私にとっての自由なのかもしれない。
AIは私に自由をくれたわけではない。
ただ、今まで時間を取られていた作業を少しだけ軽くしてくれた。
そして、その空いた場所に何を入れるのかを考える機会をくれた。
効率化して仕事を増やすだけなら、少し寂しい
AIについて調べていると、
「作業時間を半分にできます。」
「生産性が上がります。」
「AIで業務効率化。」
そんな言葉をよく見る。
もちろん素晴らしいことだ。
でも私は最近、その先が大切だと思うようになった。
1時間かかっていた仕事が30分になった。
では、残った30分で何をするのか。
さらに仕事を詰め込むのか。
誰かと話すのか。
新しいことを学ぶのか。
家族と過ごすのか。
犬と散歩するのか。
コーヒーを飲みながら何も考えないのか。
そこまで考えて初めて、効率化には意味が生まれるのではないだろうか。
建築の仕事でも同じだった
建築現場でも、効率は大切だ。
段取りが悪ければ職人さんを待たせる。
材料が届かなければ工事が止まる。
工程を間違えれば、お客様にも迷惑をかける。
だから私は35年以上、段取りを大切にしてきた。
でも、良い現場は「速い現場」とは限らない。
少し立ち止まった方がいい時もある。
職人さんと話した方がいい時もある。
お客様の話をゆっくり聞いた方がいい時もある。
その10分を惜しんだことで、後から何時間もかかることだってある。
効率とは、ただ急ぐことではない。
大切なことに、きちんと時間を使える状態を作ること。
今になって、私はそう思う。
AIを使うほど、人間らしい時間を大切にしたくなった
これは自分でも少し意外だった。
AIを使えば使うほど、私は人間にしかできないことを大切にしたくなった。
お客様と話す。
職人さんと笑う。
家族と食事をする。
犬と歩く。
自分の経験を文章として残す。
誰かから届いた言葉をゆっくり読む。
AIには、どれも効率化できない。
いや、効率化してはいけないものなのかもしれない。
「ありがとう」と言われる時間を短縮したい人はいないだろう。
大切な人との会話を、AIに要約してもらって終わりにしたいとも思わない。
人生には、効率化しない方がいい時間がある。
私はAIと出会ったことで、逆にそのことに気づいた。
私が効率化の先に欲しかったもの
売上だけではなかった。
仕事を増やすことだけでもなかった。
暇になることでもなかった。
私が欲しかったのは、
自分の人生を、自分で選べる時間だった。
建築の仕事を続ける。
ブログを書く。
AIを学ぶ。
新しいことに挑戦する。
時には何もしない。
そのすべてを、自分で決められること。
それが今の私にとって、とても贅沢なことに思える。
60歳目前になってAIと出会い、私は仕事を速くする方法を覚えた。
でも、本当に教えてもらったのは、速く生きる方法ではなかった。
むしろ逆だった。
大切なものには、ちゃんと時間を使っていい。
そのために、AIを使えばいい。
効率化の先に私が本当に欲しかったもの。
それは、
もっと働くための時間ではなく、自分らしく生きるための時間だった。
今は、そう思っている。
🍃こちらの記事もおすすめです
便利になったのに、時間が足りない理由
AIで効率化したはずなのに、なぜ以前より時間が足りないと感じるのか。
https://aihassinn.online/ai-efficiency-and-time/
建築現場は、まだAIだけでは完成しない
AIが進化しても、人の経験や判断、会話が必要だと感じる建築現場について書きました。
https://aihassinn.online/construction-needs-people/
60歳目前で新しい挑戦を始めた理由
なぜ今になってAIやブログへ挑戦するのか。その原点を書いた記事です。
https://aihassinn.online/new-challenge-at-60/
読んでいただき、ありがとうございました。
AIを使えば、確かに仕事は速くなります。
でも、速くなったことだけで人生が豊かになるわけではない。
その先に生まれた時間を、何に使うのか。
私はそこに、その人の生き方が表れるような気がしています。
若い頃は、空いた時間に仕事を入れていました。
今は、その時間に新しい挑戦を入れることもあれば、大切な人との時間を入れてもいいと思えるようになりました。
AI時代だからこそ、すべてを効率化するのではなく、
「効率化しない時間を大切にできる人でありたい。」
そんなことを考えています。
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。
また次の記事でお会いしましょう。


コメント