AI時代の発信幻想 #01
ブログが稼げない。それでも記事を書いてしまう夜がある
夜、現場から帰ってくる。
作業着のまま椅子に座り、スマホを開く。
最初に見るのは、メッセージでもニュースでもない。
サーチコンソール。
そしてJetpack。
今日のアクセス数を確認する。
増えていない。
昨日とほとんど変わらない。
それでも、また見てしまう。
自分でも少しおかしいと思う。
これは、完全に病気だ。
朝は建築やリフォームの現場で動き回っていた。
現実の仕事はちゃんとある。
見積もりもあるし、材料費も上がっている。
お客さんとのやり取りもある。
身体も疲れている。かなり、つらい。
なのに夜になると、またブログ管理画面を開いてしまう。
記事を書こうとしている。
「ブログ 稼げない」
そんな検索ワードを、自分自身が何度も見てきた。
昔はもっと単純だった気がする。
ブログを書けば収益化できる。
100記事書けば変わる。
継続すれば伸びる。
そういう話を信じていた時期がある。
実際、それで人生が変わった人もいたのだと思う。
でも今は違う。
検索結果には企業サイトが並び、AI記事は大量に増えた。
個人ブログは埋もれやすくなった。
アドセンス審査も昔より厳しく感じる。
副業ブログを始めても、ほとんど収益化できない人のほうが多い。
それでも、人はブログを始める。
そして私もまだ続けている。
なぜだろう。
最近、その理由を考えることが増えた。
本当にお金だけが欲しかったのだろうか。
もちろん収益化したい気持ちはある。
本業だけでは不安もある。
建築業は景気にも左右される。
コロナ、ウッドショック、アイアンショックに物価高
続いて今度はナフサショックだ。
身体も使う。
年齢を重ねれば、今と同じように動ける保証もない。
だから副業を考える。
AIにも興味を持つ。
「これからはAIの時代だ」
そんな言葉を見ながら、ChatGPTを開き、記事を書き始める。
最初は希望だった。
AIを使えば、自分も変われるかもしれない。
ブログも伸びるかもしれない。
収益化できるかもしれない。
そう思っていた。
でも、実際に始めてみると、違う感覚もあった。
記事を書いてもアクセスは増えない。
noteを書いても反応は少ない。
Xを更新しても埋もれていく。
それでも、また次の記事を書いてしまう。
私は最近、この状態が少し「投資」に似ていると思うようになった。
数字が動く。
少しアクセスが増える。
インプレッションが伸びる。
検索順位が上がる。
その瞬間だけ、気持ちが浮く。
でも翌日にはまた下がる。
そして、また記事を書く。
これは本当に副業なのだろうか。
それとも、別の何かなのだろうか。
AI時代になって、発信は以前より簡単になった。
タイトルも作ってくれる。
構成も考えてくれる。
画像も生成できる。
以前なら数時間かかっていたことが、短時間でできるようになった。
でも不思議なことに、人間の不安は減っていない。
むしろ増えている気もする。
誰でも発信できる時代。
だからこそ、「自分がやる意味」を見失いやすくなる。
AIが文章を書けるなら、自分の言葉に価値はあるのだろうか。
そんなことを考える夜がある。
でも結局、また管理画面を開いてしまう。
記事タイトルを考える。
キーワードを調べる。
検索ボリュームを見る。
そしてまた、「ブログ 続かない」「副業 稼げない」のような言葉を眺めている。
最近思う。
多くの人は、自由になりたくて副業を始めたのではないだろうか。
会社に縛られたくない。
好きなことで生きたい。
自由な時間が欲しい。
AIで効率化したい。
そんな希望を持って始める。
でも途中から、発信そのものが仕事になっていく。
毎日投稿。
SEO確認。
SNS更新。
数字チェック。
リライト。
AIツール研究。
気づけば、ずっと発信のことを考えている。
自由を求めて始めたのに、今度は数字に縛られていく。
これもまた、AI時代の特徴なのかもしれない。
ただ、私はこの世界を完全には否定できない。
なぜなら、救われている部分もあるからだ。
現場仕事を終えたあと。
夜に記事を書く時間だけは、少し違う感覚になる。
考える。
観察する。
言葉にする。
誰にも読まれないかもしれない。
収益化できないかもしれない。
それでも、自分の中に溜まっていたものを整理できる感覚がある。
だから続けてしまう。
もしかすると私たちは、「成功したい」のではなく、「消えたくない」のかもしれない。
発信している間だけ、自分がまだ時代とつながっている気がする。
AI時代。
情報は増え続ける。
成功者も増え続ける。
でもその裏で、静かに迷い続けている人もいる。
私はたぶん、その側の人間だ。
本業を辞める勇気はない。
でも副業も諦めきれない。
AIにも希望を見ている。
だけど、少し怖さも感じている。
そんな中途半端な場所にいる。
そして多分、それは自分だけではない。
今日もまた、サーチコンソールを開いてしまった。
アクセスは大きく変わっていなかった。
それでも、また次の記事を書こうとしている。
答えはまだ出ていない。
でもたぶん、しばらくは書き続けるのだと思う。

コメント